あの双子に恋しては、いけない
「じゃ、じゃあ俺も、春って呼んで!」
「分かった!春くんって呼ぶね?」
「あ、うん!」


 何か普段全然笑わないのに、奈々といると、笑顔が内側から溢れてくるな~。


「あっねぇ!春くん!もう、私大丈夫みたいだから、帰ろ?」
「あっうん!」


 声をかけられてやっと自分が帰ってきた。


 二人で保健室を出て、生徒玄関で靴を履き替えた。

「あれ?春くん、3組なんだ!」

 また、無邪気に笑って奈々がよってきた。

 あの無邪気な笑顔見てると、何だか自分が溶けていっちゃいそうで。

「あ、うん。奈々は?」
「5組だよ」

 手を顔の前で開き春に指し示した。

「あっじゃあ、体育の授業合同じゃん!」

 この学校の体育の授業は1、3、5組が合同なのだ。

「そうなんだ。私今日、転校してきたんだよね」
「ふ~ん」

 今日転校してきたんだ。

 でも何か、ずっと前から知っていたみたいに感じる。

 その後も、二人でくだらない話をしながら最寄り駅まで歩いた。
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