あの双子に恋しては、いけない
「あれ?奈々、同じ電車?」


 途中まで一緒に歩いて気づいた。

 同じホームに並ぶ奈々に聞いてみる。

「え?、そうみたいだね」
「どこまで?」

 春の質問に、少し考えて「あっ」と声をあげて、奈々は春を見る。

「下野駅!」
「えっ下野?じゃあ俺の一個前じゃん」
「へ~そうなんだ。じゃあ西岡?」

 そこまでの会話を静かに聞いていた春は「フッ」と吹き出した。

「え~何で笑うの!」
「ごめん。でも西岡駅は、三個奥だよ?北澤駅だよ」
「え~。む~」

 そりゃ来たばっかりだから分からないよね。

 プクッと頬を膨らませて奈々は春を睨んだ。

 そんな姿も可愛いな。

 思わず春は、見とれてしまった。

「何?まさか。次は顔に何か付いてるとか?」

 何かを探るように、顔をグシャグシャかき混ぜる奈々。


 この子、ちゃっとバカなのかな?
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