あの双子に恋しては、いけない
 ぶつかったら大変だ!

 そう奈々は思い、走って近くの角を曲がった。

『ガタッ!』

 その考えが、愚かだった。

 焦っていて周りを見ていなかった奈々は、廊下の棚に飾ってあった、トロフィーの様なものに手が当たってしまったのだ。

 あ~!終わった私の初日。

 落ちてくるトロフィーが怖くて思わず、頭を丸めて、目を手で塞いでしまった。

 ・・・あれ?落ちてこない。

 怖い気持ちを沈めて、上を見直すと、スラッとした長い腕がトロフィーをキャッチしていた。

 誰だろ?

 その手をなぞる様に、その腕の主を見ると・・・

 思わずキュンとしてしまった。

 艶々した黒髪の男子生徒が心配そうに私を見ていた。

 この角度から見ると、壁ドンされてるみたい!
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