あの双子に恋しては、いけない
 俺とやらは、何でそんな変なこと考えているんだ!

 あっいや、変なことって、あれだよ?あの子が変なんじゃなくて、その~

 って!誰に言い訳してるんだ俺。


 もう意味わかんない。


 春は心の中で呟き、机に顔を埋めた。

  *

「遅れた~!ごめん!」

 奈々は2年1組の前まで走ってきて、廊下に立っている香に気付き、遠くから謝った。

「も~遅いよ!」

 少し怒った香に謝るように奈々は自分の目の前で手を合わせた。


 香は許してくれたし、その後も約束通り学校探検をした。

 探検と言っても、香がそう言っているだけで、学校案内の方が正しいと思う。

「ここは音楽室ね」

 香と一緒に音楽室の前を通り過ぎた時に、窓からパラパラと落ちていく桜の木の根本にある人を見つけた。

 島野さん!

 心の中で叫んで、香にバレないように窓際に寄った。

 カッコいいな。

 島野さんは、桜の木の根本で上を見上げている。

「あっ」

 思わず声を挙げてしまった。

 島野さんがこっち側を振り向いて見てきたからだ。
< 7 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop