あの双子に恋しては、いけない
「ごめん!」

 とだけ言い、奈々は教室を飛び出した。

 あの影。

 あの人!

「島野さん!」


 奈々は島野さんの所まで走り声をかけた。

 島野さんは後ろを振り向き、顔をしかめた。

「あの~どちらさん?」

 っえ!

 島野さん、忘れちゃったのかな。

「あ!もしかして春の奴と勘違いしてない?」
「え、だって。え?」
「サン、俺の事呼んだ?」

 えっ!

 確かに島野さんの声が後ろから聞こえ、後ろを振り返った。

「あれ?君」

 え!

 島野さんが、二人。

 後ろを向いてそこに立っていたのは紛れもない、島野さんだ。

 う。

 ダメだ。


 意識が。


 ドタッと音を立てて、奈々は倒れた。
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