パンデルフィーの花びら
伝聞(1)
・・・・・
「いい加減顔を上げて頂戴」
「すみませんでした。本当に……」
「もう! これ以上謝らないでと言っているでしょう?」
「でも……」
「謝罪なら騎士様から十分頂いたわ。ライナはいつも通りにしていなさいな」
翌朝、ライナはミレーヌの屋敷に謝罪のため訪れていた。せめてものお詫びにとお手製の小さな花束を携えて。
ミレーヌは花器に移された花を機嫌良く眺めている。水色や黄緑色の淡い色でまとめられた花々からは、どこか控えめな印象を受けた。
「……それよりも貴女、ひどい隈ね。どうしたの」
振り返ったミレーヌが、心配そうにライナへ尋ねる。指摘を受けたライナは顔を隠すようにさっと俯いた。
「昨日はなかなか眠れなかったものですから……」
小さな呟きを拾ったミレーヌはあら、と目を丸くする。
「騎士様、泊まっていかれたの?」
「ち、違います! その、色々とお話を聞かせてもらっていたのです!」
「なあんだ」
拍子抜けしたように呟くミレーヌに、ライナは何てことを言うのだと言わんばかりの非難の目を向けた。
「前にも言ったけれど、ライナにはもっと色気が必要だわ。やはり昨日は、最初のドレスを着るべきだったのよ」
「ミレーヌさん!」
その時、ごほんと咳払いの音が響く。そばに控えている使用人が、暗に静かにするよう求めているのだ。
「すみません……」
使用人の存在に我に返り、ライナは真っ赤になって身を小さくしている。その様子を見て小さく笑ったミレーヌは、辺りを気にして声の大きさを落とした。
「いい加減顔を上げて頂戴」
「すみませんでした。本当に……」
「もう! これ以上謝らないでと言っているでしょう?」
「でも……」
「謝罪なら騎士様から十分頂いたわ。ライナはいつも通りにしていなさいな」
翌朝、ライナはミレーヌの屋敷に謝罪のため訪れていた。せめてものお詫びにとお手製の小さな花束を携えて。
ミレーヌは花器に移された花を機嫌良く眺めている。水色や黄緑色の淡い色でまとめられた花々からは、どこか控えめな印象を受けた。
「……それよりも貴女、ひどい隈ね。どうしたの」
振り返ったミレーヌが、心配そうにライナへ尋ねる。指摘を受けたライナは顔を隠すようにさっと俯いた。
「昨日はなかなか眠れなかったものですから……」
小さな呟きを拾ったミレーヌはあら、と目を丸くする。
「騎士様、泊まっていかれたの?」
「ち、違います! その、色々とお話を聞かせてもらっていたのです!」
「なあんだ」
拍子抜けしたように呟くミレーヌに、ライナは何てことを言うのだと言わんばかりの非難の目を向けた。
「前にも言ったけれど、ライナにはもっと色気が必要だわ。やはり昨日は、最初のドレスを着るべきだったのよ」
「ミレーヌさん!」
その時、ごほんと咳払いの音が響く。そばに控えている使用人が、暗に静かにするよう求めているのだ。
「すみません……」
使用人の存在に我に返り、ライナは真っ赤になって身を小さくしている。その様子を見て小さく笑ったミレーヌは、辺りを気にして声の大きさを落とした。