パンデルフィーの花びら
そんなことがあったにも関わらず、騎士団員たちは度々花を求めてライナの元へやってくるようになった。毎回顔ぶれは違っていて、顔も名前も覚える暇がないほどだ。一時の流行に嬉しい悲鳴を上げながらも、ライナは一番会いたい人に会えないもどかしさを感じていた。
(もしかしたら、イルミスさんはもう二度と来てくれないかもしれない……)
ーーやはりあの共に食事をした時、もっと肯定的な返事をするべきだったのだ。
そうライナは、来る日も来る日も後悔していた。
恋愛など自分には一生できないだろうとどこか諦めて過ごしていたライナは、イルミスに出会ってからは全く違う人生を歩いているように感じている。
突然仕事場をなくしたにも関わらず、こんなにも充実した毎日を送れるのは、他でもないイルミスのお陰だ。
それなのに、イルミスへは何も返せていない。時間を戻して「また会いたい」と本当の気持ちを伝えたい。
ライナはどんどん大胆になる自分の気持ちに、戸惑いを感じるようになった。