とある国のおとぎ話



 願うことも、祈ることもやめたが、叶えることもできない夢を見る。


 何も不安もない、如月が幸せに過ごせる日が来ることを。


 そんな世界がこの国におとずれることを。


 その日が来たら、己の罪に向き合い贖罪を受ける覚悟はある。


 彼女が幸せになった、その時。


 俺がそばにいることはない。


 何故だか、いつも想像できないのだ。


 二人でいる幸せというものを。


 幸せを手に入れた彼女の傍に、俺はいてはならないと強く思ってしまうのだ。


 傍にいることなど望まない。


 誓ったのだ。


 己の全てを賭して、守ると誓ったのも。


 夢見る幸せも。


 彼女だけのもの。















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