とある国のおとぎ話
モノクロの世界
目を開けると、モノクロの世界。
ずっと、こんな世界で生きていく。
「以上で、報告は終わりです」
「ご苦労。君はムラがあるが実に有能だ」
「有能じゃなかったら、とっくに死んでます。でも、ムラがない有能な二人を思い出すと物足りないでしょうね」
探る目を隠さずに向けると、男は微笑を浮かべのたまう。
「ムラがない人的資源のほうが有効だからね。まぁ、人なんて脆い消耗品だから仕方ないが…あの二人が同時に使えなくなったのは痛手だ」
本音ではあるだろうが、それ以上の本音があるのはわかる。
何故なら、僕とこの男は感覚が近いから。
人を手のひらで転がす玩具だと思っている。
この男は玩具を壊すことを楽しみにしているけど。
「それ以上に痛手なのは、お気に入りの玩具が壊れて、退屈なことでしょ?」
「…さすがだ。そうなんだよ。全く、愚かな子たちだった。それ故、手元に置いてたんだがね」
うん、実に愚かだ、と男は嘲笑うように呟く。
それこそが、最高だと言うように。