拷問ゲーム
「笑わないで下さい……」




大和田が消え入るような小さな声で言った。




「僕のことは笑っても、遥香さんのことは、笑わないで下さい……」




それは気が弱そうな大和田の精一杯の抵抗だった。




オレは大和田のその言葉を聞いて、大和田が真剣にこの拷問ゲームに挑んでいることを知った。




どんな事情があるかはわからない。




でも大和田は大和田なりに、必死になって恋人を守ろうとしていた。




「ハハハッ。

こんな冴えないクソガキでも、必死になって恋人を守ろうとしていやがる。

だけどな、大和田。

お前はきっと後悔するぜ。

本当に一番大切なのは、自分だったって……」




藤城がそう言うと、藤城の部下たちが、また一緒になってゲラゲラと笑った。
< 136 / 306 >

この作品をシェア

pagetop