拷問ゲーム
「痛ぇだろ、大和田。

だけど、これはまだ、初級編だからよ。

お前が耐えれば、耐えるほど、お前は辛い思いをするんだぜ。

人間は誰でもよ、自分がかわいいんだよ。

オレには今のお前の気持ちがわかるんだ」




そう言って、ニヤニヤと笑っている藤城は、本当にゲスだとオレは思った。




できることなら、オレは藤城を殺してやりたい。




あいつは、人間の顔をした悪魔だ。




「なぁ、大和田。

裏切っちまえよ、遥香なんて。

人間は、どんな環境にも慣れる生き物だからよ」




大和田は藤城の言葉を泣きながら、黙って聞いていた。




「いいじゃねぇか、遥香なんて。

もう二度と会わなければいいだけの話だろ。

遥香は美人だよ。

だからあいつは、大金を稼げるんだ。

あいつはたくさんの男をよろこばせて……」




「止めろ!」




気弱な大和田が泣きながら、叫んだ。




「遥香さんは、僕が守るんだ。

遥香さんは、僕が守るんだ!」




大和田がそう叫んだとき、拷問部屋の空気が変わった。
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