拷問ゲーム
「よく言ったな、大和田。

お前は本当に立派だぜ」




その言葉とは裏腹に、藤城の目は殺意に満ちていた。




「だけどよ、大和田。

オレは基本的に、立派なヤツが嫌いなんだ。

人間は誰だって、自分が、かわいいはずだろ?

だからオレには理解できねぇんだよ。

自分を犠牲にして、誰かを助けようとするヤツの気持ちがよ」




藤城がそう言うと、オレのとなりで、志村がニヤニヤ笑いながら、オレに話しかけてきた。




「大和田のガキは、藤城ちゃんを怒らせちまったみたいだぜ。

藤城ちゃんは、偽善者が死ぬほど嫌いだからな。

藤城ちゃんってよ、ガキの頃は、大人に裏切られ続けて、辛い思いをしてたみたいだからよ。

誰かが誰かを助けようとするのが、気にくわないんだ」




藤城がガキの頃に何があったかなんて、オレは知らない。




だけど、人が人を助けるのは、美徳じゃないか。




人は強がっていても、弱い存在だから。
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