拷問ゲーム
「私ね、ドブ川に映る月を見てるの。

こんなに汚いドブ川なのに、ドブ川に映る月は、キラキラ輝いているでしょ。

このドブ川は、今の私を取り巻く世界。

だけど私は、こんなドブ川の中でも、キラキラって輝きたいの。

そんなのって、やっぱりおかしいかなぁ?」




「少しもおかしくねぇよ」




オレはそう言って、ドブ川に映る月を見つめた。




「あきらめて、何もしねぇクズより、お前の方が立派だよ。

だから泣くなよ。

お前が泣くのって、似合わねぇよ」




オレたちは、そのあとも時間を忘れて話し込んだ。




オレは美優のことが知りたくて、美優はオレのことを知りたいと思ってくれていた。




オレはどうしようもないクズだけど、美優と話しているうちに、美優を守ってやりたいと思っていた。




そして、自分も変わりたいって。




あきらめていたそんな気持ちが、オレの中でわき上がっていた。
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