拷問ゲーム
「圭介、今日はたくさん買い物して帰ろうね。

私たちの新しいアパートも決まったことだし」




今の恋人、美由紀が、笑いながらオレにそう話しかけてきた。




美由紀は今、妊娠三ヶ月。

オレたちは、二ヶ月後に結婚することになっていた。




オレのかつての恋人、美憂は、藤城たちのせいで地獄に落ちていき、
美憂を裏切ったオレは、新しい幸せを手に入れていた。




「ねぇ、圭介。

生まれてくる赤ちゃんの名前、ちゃんと考えててよね」




オレは、そう言って笑った美由紀の頭を撫でて、美由紀に言った。




「わかってるよ。

オレは毎日、生まれてくる赤ちゃんのことを考えてるよ。

オレたち、他の誰よりも幸せになろうな」




オレが美憂を裏切ったとき、こんな幸せがオレに訪れるなんて、夢にも思っていなかった。




きっとオレは、拷問ゲームで負けを認めて良かったんだと、今は思う。




拷問ゲームは美憂が言うとおり、誰も幸せにしない悪魔のゲームだから。
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