拷問ゲーム
「美憂、オレたちの関係は、もう終わったんだ。

拷問ゲームがあったあの日に……」




オレの言葉に美憂は何も答えず、焦点が合わない目でオレの顔を見ていた。




「美憂、人は人を救えないんだ。

だからオレは、美憂を救えない。

オレたちはもう……、他人なんだ」




オレは残酷な言葉で、今の現実を美憂に告げた。




今のオレには、守りたい未来があった。




オレが思い描く未来に、美憂の存在はどこにもなかった。




利己的になることが、正義だと、オレは藤城に教わった。




そして、偽善は悪だ。




オレは中途半端な気持ちで、美憂に救いの手を差しのべるつもりはなかった。
< 294 / 306 >

この作品をシェア

pagetop