拷問ゲーム
「圭介、私の問いに答えてね」




そう言った美憂の瞳に光はなかった。




「自己犠牲は正義ですか?

それとも偽善ですか?」




美憂は拷問椅子に座るオレの前に立ち、オレの顔を見つめていた。




オレには、光のない瞳でオレを見つめる美憂の気持ちがわからなかった。




美憂はどうして、そんなことをオレに訊くのだろう?




オレはもう二度と、誰かのために犠牲になんてなりたくないのに……。




オレは自分に正直に生きていたいのに……。




「自己犠牲なんて、偽善だ!

本当に大切なのって、いつだって自分だろ?」




「大切な恋人を守るために、苦痛に耐えるのは、正義ですか?

それとも悪ですか?」




美憂はそう言って、無表情のまま、右手に持っていたナタを振りかざした。




オレはその様子を目を丸くして見つめていた。




美憂はきっと、狂ってる。
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