拷問ゲーム
「オレが最初にくじを引くぜ」




オレはそう言って、藤城の目をのぞき込んだ。




「圭介!」




オレの後ろでソファーに座っている美優が、オレを心配して、甲高い声を上げた。




オレはそんな美優の声に振り向くこともなく、藤城が握っている二本のくじをじっと見つめた。




後攻が有利なことは、わかりきっている。




オレは美優の未来を守ってやるためにも、どうしても後攻を引きたかった。




「ほら、高木、早く引けよ。

どうした?

びびったのか?」




オレの後ろで、志村がそう言ったあとにケラケラとうれしそうに笑った。




オレは志村の笑い声が響く部屋の中で、二本のくじに意識を集中させて、ゆっくりとくじの方へ右手を伸ばした。
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