拷問ゲーム
オレが右手をくじの方に伸ばしているとき、オレの頭の中に美優の顔が浮かんでいた。




美優が藤城に売り飛ばされようとしているのは、美優の親の借金のせいだ。




美優は、たまたま貧乏な家に生まれてきた。




子供は、どんなに頑張っても親を選べない。




生まれながらにして、大きなハンディキャップを背負わなければならなかったのは、美優の悲しい運命だ。




でもオレは、美優の未来が悲しみで包まれるのは避けたかった。




だって美優は、笑いながらオレに自分の夢を言ってくれたから。




キラキラした自分になりたいって。




昼も夜も働いても構わないから、今とは違う自分になりたいって。




オレは藤城が握る二本のくじのうちの一本をつかみ、そのくじをゆっくりと引き抜いた。




そしてオレは、引き抜いたくじの先端の色を確かめた。




オレが引いたくじの色は、赤色だった。
< 58 / 306 >

この作品をシェア

pagetop