拷問ゲーム
「藤城さん、ペンチです」




中川がそう言って、サディスティックな笑みを浮かべ、
藤城にペンチを手渡した。




オレはその様子を息を殺して、じっと見ていた。




ついに今から、オレへの拷問が始まる。


それはまさに、悪夢のような現実だった。




「高木、何で人間はよ、自分を犠牲にしてまで、他人を助けようとするんだろうな?」




ペンチを手渡された藤城は、そう言って、オレがいる方を振り返った。




「自己犠牲の精神ってよ、結局は自己満足の偽善だって、オレは思うんだよ。

だってよ、世の中で一番大切なのって、自分だろ?

オレは、どんなときでもそう思ってた。

人の優しさなんてよ、結局は嘘の塊なんだよ。

人間ってヤツは、苦しくなれば、すぐに人を裏切るんだ」




藤城はそう言って、オレの前に立ち、拷問椅子に座っているオレを見下ろした。




「今からオレは、自分のその考えの正しさを証明するからよ。

だから、高木。

お前は泣き叫びながら、人間の真実の姿をオレに教えてくれよな」
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