年下男子とリビドーと

「……それは……やましいことがあるから?」
「何言ってんの!」

何のやましいことがあるって?
牽制したわたしに、鹿島さんが席を立った一瞬の隙を狙って、また耳打ちして来た。

「じゃあ、やましいこと作ります?」

作るって……。
思わず顔が赤くなってしまった。
まずい。油断した。
成海くんはわたしの反応を見て、面白そうににっこりした。

料理の皿を持ち、戻って来た鹿島さんがわたし達の様子を眺めて一言。
「……本当に彼氏に報告出来ないことになってる?」

「そんなわけないです!」

「ムキになっちゃって、可愛いですね」

成海くんが更に満面の笑顔で言う。

不覚にも、成海くんのペースに乗せられてしまっている。
これは、話題を変えなければ。
何かネタが無いかと周囲を見回すと、成海くんのバッグが目に付いた。
大学生と言えば、A4サイズくらいのキャリングケースを持っているイメージだが、成海くんのバッグは3~4倍あるだろうか、かなり大きい。

< 12 / 73 >

この作品をシェア

pagetop