年下男子とリビドーと
そして、既に皆は居ない。
「あのー……みんなは?」
「明日あるからって帰りましたよ。」
「うそ! 鹿島さんは休みでしょ」
「僕に任せるって、楽しそうに帰って行きました」
鹿島さんは一層面白がっている……わたしは顔を抱えて畳の上でうなだれた。
「大丈夫ですよ。送り狼とかしませんから」
優しく微笑んでいるが、何を口走っているんだ?
仕方なくふたりで店を後にした。
既に終電は終わってしまっている。
何処へ向かうのかよくわからないまま、頭痛がする為着いて行くので精一杯だ。
何だか足元がおぼつかない。
「冴木さん、危なっかしいから、ほら。」
成海くんが、ずいっと腕を出して来た。
此処に掴まって良いのだろうか。
頭が上手く回らなかったけれど、転びたくはなかったので、甘えることにした。
掴まった成海くんの身体は細くて、久しぶりにまだ知らない男の人に触れたような感覚がして、鼓動が速くなって来る。
これは……酔っているせい。そう心の中で繰り返して、平静を取り戻そうと試みる。
紘希よりずっと華奢な身体だ。少年みたい。
体重掛けたら倒れそう……。
わたしは何故か、体重を掛けてみたい衝動に駆られた。