年下男子とリビドーと
「これ……番号が違う」
上段と下段の番号は揃っていないといけないのに、違う番号が振られている。
ということは……わたしは周辺の書類を繰った。
「あった」
2枚の書類の番号が互い違いになってしまっていた。
このままファイリングするのはまずい。
わたしは書類を持ってシステムの前に戻り、データを照合した。
やはりおかしい。社員さんに確認を取り、書類を手直しする。
「よく気付いたねこんな細かいの。鋭いなー」
「たまたま、目に入ったもので……」
社員さんに感心して貰えたらしい。
書類を手に、ファイリングに戻ろうと歩いていると、じっとこちらの様子を伺っている成海くんが見えてきた。
「間違いを訂正したんですか」
「うん」
「冴木さん、やっぱりよく気が付くんですね」
視線を手元に落としたまま、成海くんが微笑んだ。
『やっぱり』って何だ?
「まぁ、少しは長く働いてるし……」
「此処に何年居るんですか?」
「もう2年半くらいは……」
そして、気が付いてしまった。
2年半前って……成海くん18歳とかじゃないの?
これは……犯罪だ!
こんな子とどうにかなったりしたら……。
そんなわたしの些細な表情の変化を、成海くんは見逃してはくれなかった。
「今ー……なんか考えましたね」
ぎくりと冷や汗が流れる。
成海くんがわたしをじっと見据えたまま、距離を詰めて来る。