年下男子とリビドーと

幸い休憩中だったので、コンビニまで出向き、替えのストッキングを購入した。

無事ストッキングが復活したところで、気を取り直し、夕方6時から勤務に戻った時、何故か先ほどの男の子がわたしのグループのデスク前に立っていた。
夜のバイトさん達の始業ミーティングの際に、紹介が入る。

「隣のグループから異動して来ました。成海(なるみ)です」

!?

彼は軽くお辞儀をした後、わたしの存在に気付き、視線を向けたまま少し口角を上げた。
……笑われた?

少しの苛立ちを覚えつつも、受け流そうと笑顔を返す。
此処は大人の余裕を見せなければ。

「じゃあ取りあえず、簡単な流れを……冴木(さえき)さん、教えてあげてくれる?」

課長がわたしに向かって顎で指示を出す。

「えっ!? 何でわたし……」

社員さんは…と見回したが、全員慌ただしく電話を取ったり、バイトや派遣の質問に答えたりしていた。


仕方なく、バイト君の指導を始める。
気まずかったが、努めて平静を装い、笑顔で話しかける。
わたしより、仕事が変わった彼の方が不安に違いないのだ。

「バイトさんが異動なんて珍しいね」
「就活があるので、前のグループより休みとか融通がきくからってご好意で」

「学生さんかぁ、大変だねー」

うわぁ、若ーい。
なんて、オバサンのような感想を心の中で発してしまった。
学生から見れば、28歳のわたしなんて、充分オバサンか。

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