年下男子とリビドーと
「その案で行こう。早速、受付さんと他のセンターと調整してみるよ」
社員さん達が席を離れて行く様子を見送っていると、視線を感じて振り向いた。
成海くんが優しく微笑んでいた。
「さっすが冴木さん」
「……そんな、思い付きだよ」
わたしは笑顔を返しつつも、思わず眉を八の字に下げて、謙遜してしまった。
「いや、周りをよく見てるからじゃ無いかな~」
成海くんの言葉が嬉しくて、また赤くなってしまった。
ぱちぱちと瞬きしながら、片手で頬を押さえてしまったわたしの仕草に、成海くんが照れたように咳払いをした。
嬉しい反面、罪悪感が根深くなってゆく。
そう感じた瞬間、わたしは少し冷静さを取り戻し、表情を引き締めた。
こんなしょっちゅう、ふたりして赤くなっていたら、格好の噂の的だ。
早く、けじめを付けなくちゃ。
頭ではずっと、そのことばかり巡らせているのに
今の居心地の良さに、甘んじてしまっている、自分に気付いていた。