年下男子とリビドーと

再び沈黙した。長い沈黙。
もっと説明をした方が良いのだろうか。
それとも、男の人はそんなもの聞きたくないのだろうか。
しばらく考えていると、紘希が沈黙を破った。

「……俺は、別れたくない」

意外な言葉だと感じ、目を見開く。
自分の女が他の男と親しくするのが気に入らないのかと思っていたけど……。
“わたしが”他の男と親しくするのが気に入らなかった……?

「俺は認めない。莉南は、俺を嫌いになってないだろ」

また図星を突かれて、ドキッとした。案外、紘希は鋭い。
嫌いになんて、なれない……。
紘希と過ごした時間は、宝物だ……。

だけど、生まれてしまった気持ちを無視して、紘希と付き合うことも、出来ない……。


すると紘希はわたしの手を取り、キスをした。
優しく唇が触れるだけのキスを、指に、甲に、掌に。
ぐっと来て、また泣きそうになる。
やめて。心を乱さないで……。

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