年下男子とリビドーと
再生
紘希とは遂に終わったものの、問題が片付いたわけではなかった。
成海くんには誤解されたままだ。
わたしは避けられているし、何をどうして弁明が出来るというのだろう。
相変わらずシフトは被らないように工作されているらしく、まったく顔を合わせることがないままだ。
基本的に、派遣はほとんど入る曜日が決まっているから、そこを避ければ良いだけの話だ。
成海くんは、入る日もかなり減っているので、容易いことだろう。
わたしは、試験と面談が終わるまでは集中することにした。
勉強と練習に更に身を入れ、本番を迎えた。
努力の甲斐あって、力を発揮することが出来たように思う。
やり切った充実感とともに、7月は終わった。
8月を迎えた。
正社員登用については結果を待つのみとなり、わたしは恋愛について再び考え始めた。
思えば、いつも成海くんが当然のように絡みに来てくれて、わたしから何かしたことはなかった。
そして拒否したくせに、離れて行ってしまうと、寂しいと感じている。
勝手な女だと、小さく溜息を吐く。
わたしに何か出来ることはないだろうか……。
心の中に芽生えた想いだった。