僕の太陽


サラサラと、もうすぐ収穫するのであろう稲が鳴る。

秋特有の寂しさをまとった風が肌をなでる。
僕はこの季節が好きだ。


「おい!親友が失恋して悲しんでいるのに心配の言葉もなしか?」


香水くさいギャルと付き合っては別れるを繰り返してる人に誰が心配する言葉をかけるか。

静かに風に当たりながら帰りたい僕にとっては、会話は苦痛でしかない。

親友を名乗るならもっと僕のことを考えて欲しいものだ。


「いや、聞いてるよ。それで?その女がどうしたって?」


「別の高校のインテリ野郎に乗り換えやがったんだよぉ」


この男は何回フラれるつもりなのだろうか。

その度に愚痴をこぼされるこっちの身がもたなくなりそうだ。


「早く最低一年は続くような彼女作れよ」


そうすれば僕は一人で満足できるまで風に当たることができるのに。

適当に相槌を打ちながら家へと足を進める。

普段よりも、少し速めに。


「じゃあな。はぁぁ」


盛大なため息を残して家へと入っていく彼を横目に、僕も玄関を開ける。

この場面になる度、マンションの部屋が隣だということを恨む。

まぁ素で話せる人はコイツだけだから、いないとそれもそれで困りはするが。







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