僕の太陽
「ただいま」
返事が帰ってくることは無い。
何故なら僕の親は仕事で一年のほとんどを海外で過ごしているからだ。
日本の教育を受けさせたいとか何とか言って約3年前の中3の冬に引っ越してきたかと思えば、仕事で自分たちは海外に住むとか言って、さっさと帰っていったあの人達の思考回路は僕には計り知れない。
窮屈な制服を脱ぐ。
3年も経てば、家事はそれなりにできるようになった。
僕は、冷蔵庫の中身を確認して今日の晩ご飯は麻婆豆腐にする事を決めた。
料理が出来上がると同時にチャイムが鳴った。
誰だろう、そう思った瞬間
「翔〜!翔くん!西条翔さ〜ん!」
一瞬にして、来たのが亮太であることに気づいた。
この時間帯は、僕の部屋の隣(亮太側ではない)は留守だからいいが、そこまで大きい声ではないにしろ名前を呼ぶのはどうかと思う。
「なんだよ?」
開けながら言った。
「いやぁさ、今日母さん夜勤なんだわ。飯食べさせてくれない?」
これほど図々しい人には会ったことがない。もう慣れたが。
「どうぞ」
一言いうと嬉しそうに顔を輝かせて、ありがとうと言いながら部屋に入ってきた。
「もう出来てるから手を洗ってきて」
僕はそう言ってお皿に麻婆豆腐を盛りつける。
お皿を食卓に並べていると亮太が戻ってきた。
「うひょー!美味そう!いただきます!」
「いただきます」
the食べ盛りの男子高生だなと思いながら僕も食べ始める。
食べ終わってすぐに亮太は帰り、僕は洗い物やお風呂など寝る用意を済ませてベッドに入った。
この布団のぬくぬく感がたまらなく安心する。
布団の中で軽く今日学校で習ったことを復習する。それも全て終ったら電気を消して寝る。
何故だか今日はいつもより寝つきがよかった。