僕の太陽
2.
眩しい光が差し込んでいる。
ここはどこだろう。
辺りを見回すが見覚えのない場所だった。
呼ばれた気がして振り向くと、満開の桜の木が立っていた。
優しい風が吹くたびに桜の花びらが勢いよく舞い散る。
それに包まれるように、髪の短い小柄な女の人がいた。
僕は身長が178cmだから、身長差から見るに155cmくらいではないだろうか。
顔は見えない。そこに存在しているが何故か僕の脳が読み込まない。
だけど、とても懐かしい気持ちになった。
名前も顔もわからない彼女が、無性に、愛しい。
今すぐかけて行って抱きしめたい。
そう思うのに体が動かない。
もどかしく思っていると、彼女が口を開いた。
「貴方は、どこ?」
哀しい声色だった。心まで冷え切るような冷たさだ。
(僕はここにいる)
そう言ったはずなのに、声は出ていなかった。
ならばと精一杯手を振るが、全く気づいていない。
“桜の彼女” の瞳に 僕は映っていないのだ。
酷く頭が痛む。
「貴方は、どこ?」桜の彼女の声が鳴り止まない。