大好きです


一睡も出来ないまま朝を迎えて、腫れている目や寝不足の顔を 何とかする気力もないまま、学校に行く準備をする。


救いはママもパパも私より早くに仕事に出かかるから、この顔を見られる事無く学校に行ける事。

本当は、休んでしまいたかったけど、受験を控える身で休む事が出来ない。



身支度をやっとの思いで整え、玄関を出ると丁度 隣のドアが開いた。

「よぅ! 今から学校か?」

と、これ又幼馴染みの隣の 陽ちゃん こと、 戸谷陽介 22歳に見つかった。

こんな顔だし....。

今朝は誰にも会いたくなかったのに。


『、、、おはよう。』

そう短く挨拶をして、何とかすり抜けようとしたら走り出そうと一歩足を出したところに、、。

「今から学校か? 間に合わないだろ、、。
俺も学校だし乗せてってやるよ。」

『ありがとう。でも、いいよ、、、。間に合わなくても、、。陽ちゃん反対方向だし
間に合わなくなっちゃうから、、、。』


なんとか言い訳を考え、断ろうとすると、

「いいから 乗れ!」

と、低い声でいわれて私は渋々陽ちゃんの車に乗り込んだ。

エンジンがかかり、走り始めた車内で私は顔を見られたく無くて窓の方を眺めていた。

「、、、で? 何があった?」

『、、、、。』

「もしかして、、、。那智にぃの事聞いたのか?」

『、、、、。』

「、、図星か。 俺も昨日聞いたよ。 紗季。 兄ちゃんの事がずっと好きだったもんな。」

『 、、 知ってたんだ、、。 』

「そりゃあ、伊達に幼馴染みやってないからな。 小さい時から、紗季、いつも兄ちゃんの後追っかけて。 俺はもっぱらお前をいじめるのに そんなお前を守って来たのも兄ちゃんだしな、、、。 」

「 俺も正直、母さんから聞いた時驚いた。
その後、紗季 泣いてんだろーな。って思ったんだ。」

『 、、ねぇ 陽ちゃん。 お兄ちゃんに彼女がいる事知ってた?』

「いや、、。 夏が始まる前に兄ちゃんと会った時はそんな話してなかったな、、。」

『、、そうなんだ、、。』

学校が見えて、校門の手前で降ろしてもらい、陽ちゃんにお礼を告げると、脚取りの重いまま門をくぐった。
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