空の上から愛してる



こう頭の中で抵抗するものの、実際に行動に移せない。
最低だ、最低すぎる。



「俺は百合が好きだよ。百合が俺のことがもう好きじゃないなら、少しの間距離を置こう。それでいいだろ?百合を自由にしてやるよ」



「自由…?」



伝わる、先輩の温もり。この温もりが好きだった。
でももうあたしの心は冷めつつあった…。



「百合に好きなヤツが出来たら俺は諦める。でも一ヶ月経っても俺が好きだったらまたやり直そう。今度は絶対、お前を悲しませないから…」




それは本当?
また嘘なの?
どちらかなんて分かるはずない。


あたしは先輩の言葉にただ、ただ、頷くしか出来なかった。



「わかりました」と返事をして、ゆっくりと先輩を離していく。
見上げると、そこにはいつもと変わらない、柔らかい表情で笑う先輩がいた。


あたしの大好きだった笑顔。
でもさようなら。



今日であたしとあなたは他人になる。



「最後に…」



すると先輩はこう言って、あたしの頬に軽くキスをした。





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