空の上から愛してる
先輩の温もりを、最後に感じたときだった…。
先輩は「じゃあね」と言って、あたしの前から姿を消した。
あたしは先輩の背中を見つめることなど出来なかった。
もう、終わり。
この恋は終わったのだ。
下を向いて、涙を堪える。
そして手をぎゅっと握り、力を入れた。
「ありがとう、先輩…」
あたしは進みます。
あなたのいない世界を。
春の始まり。
先輩との恋は散った。
けれど新しい恋が、膨らんだの…。
あたしは清秀高校へと向かう。
ここから一つ先の駅に清秀高校はある。
中学からこの高校に行くのはあたしだけ。
あまり遠い高校へみんな行きたがらなかったのだ。
でもあたしは先輩がいたからここの高校にした。
あたしのその理由を聞いた友達は、「それは仕方ないよ」と笑顔で答えてくれたっけ…。
過去は振り返らない。
あたしは未来を見るの。
そして、この高校で運命の出会いをする。