空の上から愛してる
まさか恋をするなんて思ってもいなかった。
でもあなたはとても魅力的な人でした。
一目見たときから、あたしの心はもう奪われていたのかもしれません。
先輩と別れて一時間くらい経ったころ、あたしは校門の前に立っていた。
沢山の人の中にぽつんと立ちすくむ。
《入学式》という看板を、じっと見つめていたのだ。
なんだかまだ実感がない。
あたしは高校生になった。
変われるかな、あたし。
桜の花びらが、ひら…ひらと散っていく。
沢山の声、沢山の人、
沢山の花びら。
友達はいない。
愛しい人もいない。
ゼロからのスタート。
あたしは「よし!」と意気込み、レンガ造りの校門を潜る。
そんな時、後ろからこんな声が聞こえてきた。
「ちょっと!歩!危ないって!!」
「うるせぇな!俺を信用しろ!」
あたしは後ろを振り返る。
そこには金髪の少年と怒った表情を見せる少女が自転車を二人乗りをしてこちらに向かってきていた。
あたしを通り過ぎていく二人。
その二人を「羨ましい」と思い見つめる。