空の上から愛してる


髪の毛ができたら、ワックスを軽くつけて終わり。
ワックスのりんごの匂いが部屋中に広がる。


時計を見たら、もうすでに9時半を回っていた。



「もうこんな時間!」



慌てるあたし。
なぜならば待ち合わせは10時だから。
急いでワンピースを着て、白のアウターを羽織る。
カバンを持って、部屋を出ようとしたとき、携帯が鳴った。



「忘れるとこだった」



携帯が鳴らなかったら忘れるとこだった。
これがないと不安になる。
優くんから連絡がきたのかな?と思い携帯を開くと、あの人からメールが来ていた。




《これが本当に最後の願いだから。今から緑公園にきて欲しい。直》





「…先輩…?」



先輩からのメール。
内容を読んで思わず疑ってしまいそうになる。
まさか、また嘘なんでしょ?

そう言ってあたしを…また…。



あたしは思いきり家を飛び出していく。



これで最後。
優くん、ごめんね。
ちゃんとお別れをしてくるから。



待っていてください。



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