空の上から愛してる


それは先輩との写真。
写真の中で笑うあたしが憎くて仕方がなかった。


「…あたしは…おもちゃじゃない…」



あたしは人形なんかじゃない。
感情を持つ人間。
これ以上、先輩に苦しめられるのは嫌だ。
でも優くんのためだったら、自分を犠牲にしてもいい。
優くんの未来にある幸せを、あたしは壊したくないから。




先輩との写真を暫く見つめて、『さようなら』と小さく呟きながら、写真を真っ二つに破いた。
二つにした写真を次は四つに。


細かく。
できるだけ細かく。



ヒラヒラと写真は床へと落ちていく。
あたしはそれらを集めてゴミ箱の中へと捨てた。



その時、あの着信音が鳴った。
それは優くん専用の着信音。


慌てて携帯を手にとり、開く。
メールがきていた。



内容は…ただ一言。






《ごめん》




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