空の上から愛してる
~8.打ち上げ花火~


寒かった季節は、温かい季節へと変わる。
眠っていた木々たちは生きたいと願うかのように、また蘇る。


そして彩りのない街に色がつく。
ピンク色の桜が、元気に咲く。
一年前よりさらに元気よく。


あたしはまだ眠っている体を起こして、窓から空を見上げる。
真っ青な空は、一年前を思い出させた。

去年の今頃、あたしはあなたに恋をしていた。



「…もう一年前なんだね…」



あなたに恋をしたのは。今でも恋をしているけれど、もう恋人の関係には戻れない。
そんなこと分かっているけれど、未だにあなたを好きなあたしは…ダメですか?



窓から携帯へと視線を移す。


古くなったピンク色の携帯。
あたしはそれを裏返すのだ。
そこには、優くんと撮ったプリクラと、四人で撮ったプリクラが貼ってある。



色褪せたプリクラ。


これを見て、この頃に何度戻りたいと願ったことだろう。




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