空の上から愛してる


斉藤くんの肩を叩いて、存在を知らせる。


お願い、いつもと同じように笑って。



「小林…」



やはり斉藤くんから笑顔は消えていた。
そんな彼の姿を見てまた悲しくなる。



「あたしの願い叶わなかった…。ひどいよね。」



小さく苦笑いを浮かべる。
すると沙紀が軽くあたしに触れた。



「百合…」



伝わってくる、温もり。


泣かない、絶対に。
だから涙の代わりにもう少しだけ桜が散ってくれることを祈った。




あたしは二人を真っ直ぐ見つめて、口を開く。



「…優くんを泣かせないでね?」



もう優くんの辛い顔は見たくないの。



「任せろ。小林は今の気持ちを大切にしろよ…。見失ったりすんなよ。」



「ありがと。あたしはずっと優くんを見ているよ…」




この世界が滅びても、
明日あたしが死んでも…




< 226 / 468 >

この作品をシェア

pagetop