空の上から愛してる


優くんの誕生日にチャンスを与えてくれたのは彼女だから。
ライバルだと聞いて悔しかったりもしたけど、今はそんな気持ちなどないに等しい。



「あたしも不安だったんだ。相沢さん、よろしくね?」



笑顔を返す。
一気に距離が縮まった瞬間。



「相沢さんなんてやめてよ!瞳でいいって!百合って呼んでもいい?」



何となく分かる気がした。
彼女が人気者の理由が。きっと人を嫌いになったりしないのだろう。
そんな感じがしたんだ。


「うん!!百合でいいよ!」



大きく頷いて、返事をする。
そして一緒に教室の中に入って行った。



二年生になっての初めての友達は、相沢瞳だった。
あたしは彼女の天真爛漫な性格に励まされる。




座席表を見て席につく。奇遇にもあたしと瞳の席は一番後ろだった。
一つ列が違うけれど、遠くはない。




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