空の上から愛してる


何人かの女の子を連れて。
きっとその女の子たちは優くんのことが好きなのだろう。

また明るくなった髪の毛。
金髪に近い色は、まだ季節の早い向日葵のよう。反射するピアスは彼のスポットライトのよう。


優くんを輝かせている。更に…あたしをときめかす。



フェンス越しに見える優くんを、あたしはじっと見つめる。
ボールなんて見えないよ。
あなたしか見えない。


だからレシーブをミスってしまうのだ。




「それまじなの?」



聞こえてくる、優くんの声。
久しぶりに聞いた声。
外見は変わってしまったけど、声はあの時のまま。
身体中に熱が帯びていく。


ラケットをぎゅっと握り、優くんを目で追う。



「百合ちゃん?大丈夫?」



すると隣にいた部活仲間が、こう声を掛けてきた。



あたしは現実の世界に戻り、慌てて「大丈夫!」と笑顔を向ける。




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