空の上から愛してる
職員室に入り、伊藤先生を捜す。
窓側の席に伊藤先生が手招きをしていた。
「先生?何ですか?」
「ちょっとこれを読んでくれ」
そう言って机の上に出したプリント用紙。
そこには、
《カナダ留学について》と書かれていた。
それを読んだあたしはますます分からなくなる。
目を見開いて、文章を読んでいく。
「え…何ですか?これ」
「小林は英語が得意だよな?発音もいいし、成績もいいし。」
「小学校の頃から習っていましたからね。」
笑いながら、プリントを最初のページに戻す。
先生は何が言いたいのだろう?
「留学希望者がいれば、この学校から一名、推薦出来るんだ。小林は行く気あるか?出発日は来年の春あたりになるんだが。」
「え…っと。」
言葉が詰まってしまう。なんて言ったらいいのか…。
確かにあたしは英語が好きだ。
将来、そういう職種に就きたいと思っている。
留学…。
違う土地に行って他の世界を見るのも悪くないかもしれない。