空の上から愛してる



彼があたしの心の中へと入り込んだのは…。



「ま、待って!!!」



そう言って、突然あたしの腕を掴む彼。
びくっと反応をし、歩くのを止めた。



「え?なに?」



彼は呼吸を乱し、じっとあたしを見つめる。
何かに緊張しているのだろうか。


彼の熱い視線から外せないでいた。



「俺…俺、ずっとあなたのことが好きだったんだ!だから…付き合ってください!」




さっきまで顔を見せていなかった太陽が突然顔を出す。
グラウンドに広がる陽射し。
あたしはただ硬直したまま。



「えっ……」




突然の出逢いに、突然の告白。
全てが突然だった。



照れくさそうに微笑む彼を、悪い人だなんて思えない。
だけど、あたしには…。



ぎゅっと唇を噛みしめ、答えを探す。



あたしの答えは…。




「あたし…忘れられない人がいるの…」




それは…ポケットの中にあるリングをくれた人。



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