空の上から愛してる


ごめんなさい。
答えは決まっている。




「知ってるよ。君が誰と付き合ってたかって。優のこと忘れられないんだろ?」




ゆっくりと彼はあたしの腕を離し、言葉を並べていく。
あたしはそれに頷いて、顔を下に向けた。




「俺のこと好きじゃなくてもいいから付き合って欲しい。優のこと、忘れさせるから。」



理解できなかったあたしは顔を見上げる。
そこには真剣な表情をした彼がいた。



「それは…」



あなたが傷つくんじゃないの?
気持ちがないのに付き合って…悲しい結末が目に見えているじゃない。




「どうしても君と付き合いたいんだ。昔からずっと君を見てた。だから俺と一緒になって?」



第一印象はなんて強引な人だと思った。
でも真っ直ぐで屈託などない彼の性格にあたしは惚れたのかもしれない。



「あなたがそれでいいなら…」




だから彼と付き合うことにした。
こう言ったあと、彼は太陽より眩しい笑顔を向けて、一粒涙を流したのだ。





彼の名前は土屋安里。



あたしの気持ちを全て受け入れてくれた、心の広い青年でした。






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