空の上から愛してる


あなたの声が聞きたい。


話しかけているのはあたしじゃないのに、何故か緊張している。



「はっ?俺?」






…また、心が奪われた。彼の声が、あたしの全てを奪っていった。
低すぎず、高すぎない声。
そしてどこか甘い声。

どこまでも響くような、ボイス。



あなたはきっとあたしから何かを奪うのが得意なのね─…。





体中に電気が走ったような感覚だった。
この感覚は、一生忘れないだろう。





…校内に終了のチャイムが鳴り響く。



あたしは沙紀のところへ向かった。
これ以上近くにいたら自分が溶けてなくなってしまいそうだったから。



「沙紀…あのね…」



「うん?どうかした?」


壁にもたれ掛かり、沙紀に心境を伝えようとした。
一人では解決できそうにない。



けれど、言えなかった。


「ゆーり!!」



遠くから聞こえてくる、声。


また、あなたなの?



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