空の上から愛してる
優しく撫でないで…。
急に加速する涙。
声を殺して泣いた。
「あ…さとくん…」
「俺のことを好きにできなかった俺が悪いんだよ。だから百合、自分を責めんな。言ってくれて良かった…。俺も諦めがつくしさ…」
ドーン、ドーン。
散らばる花火。
あたしたちの関係も散らばっていく。
すると視界に入り込む、何か。
それは彼の手だった。
あたしの顔を包み込み、親指で涙を拭いていく。
涙で視界が歪む、歪む。安里くんの表情が見れない。
どんな表情をしているの?
泣いているの?
笑っているの?
それすら分からない。
「今、俺がこうして百合の涙を拭いてあげられるけど、俺が居なくなったら自分で拭かなくちゃいけないんだよ?だから、自分で涙が拭けるくらい強くなれよ…」
指先から伝わる彼の愛情。
でもあたしはこの愛情を自分から振り払ったのだ。
ひとつ、ひとつの温かい言葉が心を癒していく。
あたしは最後に強く頷いた。