空の上から愛してる


雪が溶け、葉から雫が落ちていく。
きらりと光る雫は死ぬ前に存在を表しているようだった。


殺風景の桜の木に花が咲き始める。
淡いピンク色の花を見たら少し安心をした。



二年生は瞳がいたから楽しかった。
いつも傍にいてくれて、あたしにとって瞳は親友以上の存在だった。
お姉ちゃんのように慕えて、尊敬できる。


瞳、ありがとう。
こんな弱い自分と一緒にいてくれて。



そして、今日から学年が変わる。
高校三年生となるのだ。高校生活最後。
悔いの残らない一年にしたい。




ようやくこの頃、あたしの願いが神様に届き始めた。



でも既に決まっていた未来を、変えることはできなかった…。
これがあたしの一番の後悔。



ずっと一緒にいたかった…。




「百合、準備できてるの?学校遅刻するわよ?」


一階から声が聞こえてくる。
「はーい」と返事をして、カバンを持ち部屋から出ていく。




< 303 / 468 >

この作品をシェア

pagetop