空の上から愛してる
あたしだけこんな想いかもしれないけど、あなたを想っていても迷惑ではありませんか?
彼は慌てて走ってきたのか、息を切らし、先生を見ていた。
すると先生は彼を笑顔で優しく迎え入れ、こう言う。
「鈴木くん、おはよう、席着いて」
「はい…すみません」
彼は会釈をし、自分の席に向かう。
一歩ずつ近づいてくる、彼。
呼吸が、止まる。
「おはよ!どうした?」
金髪少年、斉藤歩が、彼に満面な笑みを浮かべ話しかけた。
遅刻した理由を聞いているよう。
正直、聞きたくない。
だって…もしかしたら彼には彼女さんがいて、会っていたのかもしれないし…。
嫌なことばかり考えてしまう。
あたしは彼のことを何も知らない。
ゼロのまま。
イチまで程遠い。
「ただの寝坊…」
すると彼はこう苦笑いをして言った。
その言葉を聞いてほっとするあたし。
勝手だよね、本当に。
その次の瞬間、時間が止まった…。