空の上から愛してる



彼を見上げていたとき。
『今日もかっこいいな』と思っていたとき…


彼があたしを見た。



綺麗な瞳にあたしが映し出される。
金縛りにあった。
どくん…と心臓は一定の速度で鳴り、そして呼吸は完全に止まった。



どくん…どくん…。
周りの騒音なんか聞こえてこない。


彼が、あたしを見ている。



どうしたら?
どうしたらいい?


次第に手に汗が滲む。


このまま時間が止まればいいのに…



彼に好印象を与えたい。
彼の中に少しでもあたしを存在させたい。
そんな想いで、あたしは笑顔を作った。
とびきりの笑顔をしたつもりだけど、彼はどう受け止めてくれただろう。


ニコッと笑って、視線を先生へとずらした。



身体中が熱いよ。

どうして、どうして?

苦しいよ。

なんで、なんで?




見つめ合った一瞬、
あたしは幸せだと感じたの。




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