空の上から愛してる


あたしは彼じゃないから、彼がどう思ったかなんて分かるわけない。
自分が勝手に思って、勝手に舞い上がっているだけ。


彼は席に座り、斉藤くんと仲良く会話をしていた。
ほらね、何も思っていないから平然としていられるのよ。


あたしだけ、緊張しているだけなのよ…。


聞こえてくる甘い声も、崩した言葉使いも、全部全部愛しいって思う…。

あたしっておかしいのかな?



「誰かいないの?」


先生が怒ったような表情を見せて、あたしたちにこう言う。
無理もない。
学級委員なんて進んでやる人などいないに等しいから。



不気味なくらい静かになる教室。



「困ったなぁ…仕方ない、くじで決めましょ」



困った先生が出した答え。
それはくじ引き。


「えー!」



もちろん生徒たちは猛反対だ。
けどいつまでも決まらないだろうから、くじ引きでいいのに…とあたしは思っていた。



「だって誰もやらないじゃない?」



先生の言っていることは正しい。
あたしは一人、こくんと頷いていた。




このくじ引きが、
運命のくじ引きだなんてあたしは思ってもいなかった…。



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