空の上から愛してる


それはポケットの中にある。
あたしの宝物。
ぎゅっと握って、気持ちを落ち着かせるのだ。
温もりを感じて幸せな気分に浸るのだ。


ハンガーに掛けてあった制服のスカートを取り出し、ポケットの中に手を入れる。



その時気づいたのだ。




「あれ…ない…」




あれが…ない。
あたしの宝物。
あたしたちの恋人の証。


焦り始めるあたし。
何度手を入れても…ない。
確かにポケットの中にあったのに。
お昼の時はあった…
いつなくなったのかな?どこに落としたのかな?

これがないと不安だよ。優くんが遠くなってしまう。




「嘘でしょ…嫌…!!」


あたしはロッカーを閉めて、部室から出ていく。


探さなきゃ。
見つけなきゃ。



あたしの宝物。



部室に行くまでに落としたのかな?
来たルートを歩いていくが、やはりない。


小さいから?
だから見つからないのかな?



明らかに焦っている。




お願い、見つかって。




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