空の上から愛してる



「何を…忘れたの?」



優くんはこちらに体を向けて、こう言ってきた。そして歩み寄ってくる。近づいてくる度、心臓が踊る。



あたしの忘れたモノは…



「…………」




あなたに言ったら迷惑だと思うでしょう?




「もしかしてさ…これ?」




すると優くんはあたしに右手を指し伸ばして、手を広げた。



時計の針がひとつ先に進んだと同時に、あたしの中が止まった。


優くんの手の中には、あたしが探していたものが存在していた。
二人のリング。



正直に、素直に。
縦に首を振るあたし。



「何で?今こんなものがあるの?」




優くんは覚えているようだね。
当たり前か、名前が彫ってあるのだから。



これを見て迷惑だと思ってる?





「思い出だから…大切な宝物だもん…」





世界一、大事なもの。




「俺達…別れたじゃん…」




別れてしまったけれど、今はあたしの一方通行の片想い。



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